相続人が複数いる場合、相続人間で相続財産を分ける方法がいくつかあります。
そのうち、①遺産分割と②相続分譲渡を取り上げてみたいと思います。
①遺産分割について
相続が発生すると、その時点で被相続人(亡くなった人)の財産は、相続人の共有となります。この状態を、遺産共有と言ったりします。この、遺産共有状態を解消するために行うのが遺産分割です。たとえば、「A銀行の○○口座にある預金は、相続人甲が取得する、B銀行の○○口座にある預金は、相続人乙が取得する」というような感じです。
不動産の場合は、「C土地は、相続人丙が取得する」というように、相続人のうち誰かが単独で取得することが多いと思われます。しかし、場合によっては単独所有とはせず、相続人間で共有することもあるでしょう。
遺産分割をした結果、とりあえず相続人間で共有することとしたとします。では、その後、共有をやめたいと考えた場合、どうすればよいでしょうか。
再度、遺産分割をすればよいのでしょうか。それとも、共有状態を解消することはできないのでしょうか。
結論から言えば、「共有状態を解消することはできるが、遺産分割はできない」となります。
遺産分割をすると共有の性質が変化します。※正確には違いますが……。どのような変化が起きるかというと「遺産共有状態」から「物権共有状態」に変わるとされています。
何がちがうのか?
共有状態を解消するための方法が異なります。物権共有になってしまうと、もはや遺産分割はできなくなります。なぜなら、すでに遺産共有状態は解消されているからです。もう、遺産ではなくなっています。個々人の固有の財産です。
そのため、物権共有状態を解消するには、「共有物分割」という別の解消方法をとることになります。まあ、分割することには違いはありませんが。ただ、遺産分割では必要ではない許可が、共有物分割では必要になったりするので注意が必要です。ほかにも、税関連とか色々あります。
②相続分譲渡
次回、つづく……