農地を相続した場合、市町村の農業委員会へ届出が必要です。たとえば、「様式例第3号の1
農地法第3条の3第1項の規定による届出書」に記入して届け出る必要があります。
詳しくは、農地がある市町村の農業委員会に問い合わせると良いでしょう。
第三条の三 農地又は採草放牧地について第三条第一項本文に掲げる権利を取得した者は、同項の許可を受けてこれらの権利を取得した場合、同項各号(第十二号及び第十六号を除く。)のいずれかに該当する場合その他農林水産省令で定める場合を除き、遅滞なく、農林水産省令で定めるところにより、その農地又は採草放牧地の存する市町村の農業委員会にその旨を届け出なければならない。
e-Gov 農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)
届出書に関して取手市の場合、ホームページに一応案内らしきものがあるのですが、ただ、全国農業図書のパンフレットをスキャンしたのを掲載しているだけです。やる気が全く感じられません。比較のためにお隣、龍ケ崎市のホームページを覗いてみると、ワードの記載例や様式が載っていました。せめて、取手市もここまでしてほしいところです。
さきほど、挙げた龍ケ崎市のホームページに次のような案内があります。
届出内容の確実性を期するため、新たに農地等の権利を取得する方の相続登記を済ませたうえで、期限内に提出してください。
龍ケ崎市農業委員会
農地も登記がされ、登記簿に記録されています。しかし、農地を相続しても登記していない方が結構いるようです。たとえば、相続未登記の実態調査の結果を見てみると
茨城県 20,145ha、栃木県 10,880ha、群馬県 8,082ha、埼玉 4,795ha、千葉 15,243ha、東京 768ha
農林水産省 相続未登記農地等の実態調査の結果(平成28年)
茨城県は、関東周辺において面積でいうとダントツの1位です。かなり、困った状況です。相続登記をしないと、そのうち誰が所有者か分らなくなります。この辺は、宅地でも同じですが。
農地の場合、特有?の問題がおきます。いわゆる「虫食い(スプロール的かい廃)」の農地が発生してしまうことです。農地の集積・集約化や有効利用の妨げになるということで、問題になっています。
そのような状況もあり、農業経営基盤強化促進法等が改正され平成30年11月16日に施行されました。農地の共有者全員が判明しなくても、農地の貸付を不明者の同意なくできるようにしたり、20年間の利用権を設定できるようにしたとのことです。
ただ、あくまで相続人が複数いて、農地が共有の状態にないとだめなんですね。つまり、相続人のうち誰かから、貸付の申し出がある場合に使える制度といったところでしょうか。
皆様も、農地を相続したらかならず登記をしてください。登記でお困りならお近く司法書士にご相談ください。取手周辺なら当事務所へご相談ください(一応宣伝しておきます)。
参考 農林水産省 農地の売買・貸借・相続に関する制度について
農業経営基盤強化促進法等の改正により相続未登記農地が活用しやすくなりました