相続

相続財産になるもの、ならないもの(その1)

遺産分割協議をするにあたり、分割対象となる相続財産の範囲を確定する必要があります。
さて、質問です。債権は、遺産分割の対象となる相続財産でしょうか?

答えは、「なるものと、ならないものがある。」

被相続人の名義の普通預金は、どうでしょうか?
今は分割対象となりますが、……以前は、ならないと考えられていました。
平成28年に最高裁は、「預貯金債権は分割の対象となる財産である」と従来の判断を変更しました。
そのため、現在は預貯金は分割対象の財産に含まれると考えてもよさそうです。
ここで、一つ問題が起きます。預貯金が分割の対象財産となる帰結として、分割協議が終わるまで、払い戻せないという事態に陥ります。
もちろん、相続人全員が同意すれば、払い戻すことはできますが、一人でも同意しない人がいると払い戻せない……。
被相続人の口座から、生活費とか支出していた場合、どうすれば良いでしょうか。
なんとも、困りましたね。

でも、大丈夫? 今年、民法が改正され一定額までは、全員の同意がなくとも払い戻せるようになりました。
その名も「遺産分割前の預貯金債権の払戻し制度(民法第909条の2)」といいます。
金融機関に、自分が相続人であることを証明する書類を持っていけば、払い戻すことができます。

めでたし、めでたし?……。なんか、落とし穴らしきものがありそうな気がします。
次回、つづく。