相続

相続財産になるもの、ならないもの(その2)

遺産分割の対象とならない債権とは?
貸金債権や不法行為債権(損害賠償請求権)などは分割の対象とはなりません。
さて、なぜ預貯金とは取り扱いが違うのでしょうか。同じ債権?なのに……

貸金債権などの金銭債権は、教科書では「可分債権」と分類されています。
そこで、可分債権の定義を調べてみると

分割して実現することができる給付(可分給付)を目的とする債権

法律用語辞典 第4版 有斐閣

民法を学んだことがない人には、意味不明ですよね。
でも、「分割」に注目すれば何となくわかります。
というのも、昔、最高裁が「金銭その他の可分債権は、……相続開始によって法律上当然に相続分に従って分割され、各共同相続人に確定的に帰属する」と言っているからです。

そして、省略した文中に「遺産分割を経ることなく」という文言があります。
つまり、相続開始したら分割するまでもなく当然に相続人に分割された状態で帰属するから、と大雑把に言えばそういうことです。

なので、遺産分割協議の対象財産とはならないとされているのです。
もっとも、全員で合意すれば分割対象財産に含めて協議をすることは一向にかまいません。
法律を齧ったことがある人は、いかにもな感じで「私的自治から導かれる帰結だよね」と言うかもしれません。
わたしは、もちろん恥ずかしいので言いませんが。

次回、つづく?