相続

戸籍の請求

相続手続に必須の公的証明書類に戸籍があります。各種手続きに必要となるため、取得しないと手続が進みません。

しかし、役所の窓口で請求したところ「委任状がないと交付できません」と言われることがあります。本人の戸籍に記載されている、配偶者・子などの戸籍は自身の本人確認資料を提示すれば何も言われずに交付されるのに。

なぜなのか

一応、戸籍法に交付を請求できる者が規定されています。
・本人
・配偶者
・子
・父母、祖父母
・孫……

上記の中に、兄弟姉妹は含まれません。そのため、兄弟姉妹の戸籍は請求できません。ただし、正当な理由があれば請求ができます。相続手続は、正当な理由になります。

たとえば、故人の不動産の名義変更をする場合、故人の出生から亡くなるまでの連続した戸籍が必要になります。 「国……の機関に提出する必要がある場合 」に該当するので正当な理由になります。

ただ、いざ請求しようとしても、証明書発行窓口の方の中には、不慣れな方がいるので、同じ戸籍に記載されていない子(たとえば、婚姻により新しく戸籍が編成された場合など)から請求があった場合、「委任状が必要です」と案内したりして交付を受けられないことがあります。

相談者の方から、結構な頻度で聞くことがあります。正直、「またか~」と思ってしまいます。

その役所のホームページ等では、請求できる者がちゃんと説明されているのにもかかわらず……

面倒であれば、司法書士に戸籍取得も含めて相続手続をご依頼ください(一応宣伝です)。

参考 戸籍法 (昭和二十二年法律第二百二十四号)

第十条 戸籍に記載されている者(その戸籍から除かれた者(その者に係る全部の記載が市町村長の過誤によつてされたものであつて、当該記載が第二十四条第二項の規定によつて訂正された場合におけるその者を除く。)を含む。)又はその配偶者、直系尊属若しくは直系卑属は、その戸籍の謄本若しくは抄本又は戸籍に記載した事項に関する証明書(以下「戸籍謄本等」という。)の交付の請求をすることができる。

第十条の二 前条第一項に規定する者以外の者は、次の各号に掲げる場合に限り、戸籍謄本等の交付の請求をすることができる。この場合において、当該請求をする者は、それぞれ当該各号に定める事項を明らかにしてこれをしなければならない。
一 自己の権利を行使し、又は自己の義務を履行するために戸籍の記載事項を確認する必要がある場合 権利又は義務の発生原因及び内容並びに当該権利を行使し、又は当該義務を履行するために戸籍の記載事項の確認を必要とする理由
二 国又は地方公共団体の機関に提出する必要がある場合 戸籍謄本等を提出すべき国又は地方公共団体の機関及び当該機関への提出を必要とする理由
三 前二号に掲げる場合のほか、戸籍の記載事項を利用する正当な理由がある場合 戸籍の記載事項の利用の目的及び方法並びにその利用を必要とする事由